【Sinら雪姫】
A/Z & Mr.Volts
 むかしむかし、ある国に魔法の鏡を持つ魔女がおりました。

八雲「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは誰?」

因幡「えぇ〜、そんなの知ったことじゃないですよぉ〜」

八雲「この鏡もそろそろ換え時かしら? ところどころ黄色くなってきたみたいだし・・・」

因幡「え・・・!? ア、アタシばっちり答えちゃいますよぉ〜。それはあなた様ですぅ〜」

八雲「うふふ。そうやって正直に答えた方が、長生き出来るわよ」

 こうして、魔女は毎日のように自分の美しさを鏡に確認させておりました。

 ところが、そんなある日・・・

八雲「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは誰?」

因幡「はい〜、それはあなた様ですよぉ〜」

八雲「そう。まあ、当然のことでしょうけど」

因幡「でもぉ〜、隣の森に住んでるSinら雪姫はぁ〜、あなた様よりもっと美しいですぅ〜」

八雲「何ですって? 私より美しい者がこの世に存在するなんて・・・許せないわ!」

 自らの美に対するプライドを傷つけられた怒りに、身を焦がす魔女。
 一方、そんなことは全く知らないSinら雪姫は、森の中で七人の小人と一緒に暮らしていました。

和也「ハイホー♪」

七志野「は、ハイホー♪」

那智「私達は・・・」

夜刀「食いたい時に食い、殺りたい時に殺る、陽気な七人の小人だぜ!」

加賀「ちょ、ちょっとその表現は・・・」

吉田「まぁ、毎日狩りに行って食物を確保する。という今の生活からすると、あながち間違いとは言えぬが・・・」

沼河「かなり誤解を生みそうな表現だね」

和也「あー、自己紹介はもうええわ。わい、腹ペコペコなんや」

夜刀「おう、いい加減腹と背中がくっつきそうだぜ。早いところこの旨そうなキジの心臓に、ガブリと喰らいつきてぇなぁ〜」

七志野「ちょっと二人共、つまみ食いはダメだからね!」

那智「それより、Sinら雪姫は大人しく留守番をしているでしょうか・・・?」

沼河「つい先日も勝手に家を飛び出して、森の中で迷子になって『お腹が空いた』って泣いていましたからね・・・」

吉田「世話の焼ける娘じゃ・・・」


 そんなことを話しながら七人の小人達は、Sinら雪姫の待つ家に帰ってきました。


加賀「あ、そろそろ私達の家が見えてきましたよ」

和也「おーい、帰ったでぇ〜! はぁ〜、しんどかったぁ〜」

那智「姫、Sinら雪姫はどこですか?」

七志野「それが、ちゃんとベッドで寝てはいるんだけど・・・」

瀬梨「ぐぅ〜、ぐぅ〜。う〜ん・・・ぱぱぁ。えへへへへ・・・」

沼河「もの凄く幸せそうな寝顔なんだけど、相変わらず寝相が悪いですね」

那智「全く・・・。姫、姫! 起きて下さい!」

瀬梨「ん〜? ふわぁ〜あ、よく寝たぁ♪」

那智「姫・・・そんなはしたない格好で眠ってはいけないと、前にも言ったはずでしょう?」

瀬梨「いいじゃない、この方が楽だし。それより私お腹空いたぁ、何か作ってぇ〜」

吉田「本来ならば、お主が家事をするはずではないのか・・・?」

七志野「あら、女は黙って家事をしろだなんて、ジジ臭い考えね」

瀬梨「そうだよ! さっすが七志野さん、話が分かる〜!」

和也「せやけど七志野姉さん、性格少し変わっとる気がするんやけど・・・」

七志野「変わった? 当たり前でしょ!? そりゃ性格も変わりたくなるわよ!」

和也「うぉっ、何でそこで切れはりますの!?」

七志野「この天性の美貌と完璧な性格にも関わらず本編で出番がほとんど無かった私に、やっと日の当たる場所が用意されたと思ったら・・・小人ですって? ハッ、お笑い種だわ!」

和也「も、もしかして姉さん。この間出来たって言いはってた、彼氏と何か・・・」

七志野「それ以上ここでその話題に触れたらコロスわよ。オッケー?」

和也「お・・・・・・。おっけー」

沼河「図星だったんだね・・・」

瀬梨「まぁまぁ。男なんてまた見つかるって。それでも、パパにかなう男はいないだろうけどね♪」

七志野「微妙に慰めになってない気もするけど・・・ありがと。よ〜し、今日は飲むわよ、徹底的に呑むわよぉ! ちょっと、そこの白んぼ! お銚子三本、熱くして持ってきて!」

那智「それは私のことでしょうか・・・?」

七志野「アンタ以外に誰がいるのよ! 早くしてよね、女を一分待たせることは、男の一時間と同じくらい貴重なんだから!!」

瀬梨「あ、ついでに私のご飯もお願い♪」

那智「ハァ・・・わかりました」

加賀「ぼ、僕も手伝います」

夜刀「アッ、テメェ。そっちの方が肉が大きいじゃねーか!」

和也「そんなん、先に食った者勝ちや〜!」

吉田「子供か、お主ら・・・」

瀬梨「ねえ沼河、今日何か面白いことあった〜?」

沼河「う〜ん、そうですね・・・」


 このようにSinら雪姫は、森に住む七人の小人達と毎日を楽しく過ごしていました。
 そして、あくる日の朝・・・


沼河「それでは姫、行って来ます」

瀬梨「ん〜。行ってらっしゃーい」

吉田「我々が留守だからといって、あまり部屋を散らかすでないぞ」

瀬梨「ぶー、そんなことしないよお」

那智「つまみ食いも駄目ですよ」

瀬梨「那智の馬鹿ああ! 早く行っちゃえ〜!!」

那智「姫! く、首は!!」

 ギリギリギリ・・・

夜刀「おー、ありゃ完璧にキマっちまってるなぁ」

和也「那智はん、このままだと別の世界にイッてまいそうやな」

加賀「た・・・助けなくていいんでしょうか?」

七志野「いつものことだから放っとけばいいのよ。さ、行くわよ」

 こうして小人達は出かけてしまい、Sinら雪姫は今日も一人で留守番をすることになりました。

瀬梨「あーあ・・・一人だと退屈しちゃう〜」

 姫がいつものように暇を持て余していると、

 コン、コン。

 扉を叩く音がしました。

瀬梨「あれ、誰かな〜? はーい」

 ガチャリ。

八雲「こんにちは。私はリンゴ売りでございます」

 Sinら雪姫が扉を開けると、そこには魔女が変装したリンゴ売りが立っていました。

八雲「あらあらお嬢さん、一人でお留守番かしら?」

瀬梨「そうだよ〜、だから退屈しちゃってたの。それにお腹も空いてきちゃったし・・・」

八雲「それはかわいそうに……。それではこのリンゴを差し上げましょう。とっても甘くて、美味しいですよ」

瀬梨「ホント!? ありがとう、オバさん!」

八雲「(ピキ)・・・ほ、ホホホ。さあ、遠慮せずに召し上がれ」

瀬梨「いただきま〜す!」

 シャクッ。

瀬梨「あ・・・あれ? 何だか・・・ねむ・・・く・・・な・・・って・・・」

 ・・・バタリ。

 こうして魔女の毒リンゴを口にしたSinら雪姫は、死んでしまいました。

八雲「うふふ、うまくいったわ。これで、この国で一番美しいのは私ね」

 満足そうに微笑み、城に帰っていく魔女。
 それからしばらくして、小人達が家に帰ってきました。

沼河「すっかり遅くなってしまいましたね」

七志野「アンタが蜂の巣を突付いたりするからよ」

夜刀「うるせぇ、オメーだって蛇が出た時は飛び上がってビビってたじゃねーか」

加賀「まあまあ。姫が待ちくたびれてますよ」

吉田「むっ・・・なんということだ!?」

和也「どないしたんや?」

那智「ひ、姫っ!?」

 小人達が帰ってくると、そこには床に倒れて息をしていないSinら雪姫の姿がありました。

那智「姫っ! Sinら雪姫っ!!」

加賀「目を覚ましませんね・・・」

夜刀「ん? このリンゴを食って倒れたんじゃねーか?」

沼河「こ・・・これは、毒リンゴです!」

吉田「落ち着け。確か姫を助ける方法があったはずじゃ。思いだせい」

和也「せや、こういう時は・・・どうするんやったっけ?」


 小人達は姫を目覚めさせる方法を思い出そうとしましたが、全員が忘れています。


和也「家を吹き飛ばすんやなかったか?」

沼河「残念だけど、この家はレンガ造りだから飛ばないし・・・そもそも私達は『小豚』でなく『小人』です」

七志野「一人だけ子豚ちゃんでも通用しそうな人はいるけど」

加賀「ど、どうしてそこで僕の方を見るんですか!?」

夜刀「ウスを落としてみるか?」

那智「姫はカニの恨みを買ったわけではありません。それに、そんな起こし方をしたら、後で私達が姫に殺されてしまいます」

夜刀「面倒クセぇ、だったらそこに落ちてるリンゴを頭の上に乗せて、矢で射抜いちまおうぜ!」

七志野「何でアンタはそう野蛮な方法ばっかり考えるのよ。だから、いつまで経っても人気も地位も下っ端なのよ」

夜刀「うるせぇ! 一枚絵もなきゃ、人気投票に名前すら挙がってねぇテメーにンな事言われたかねぇ!」

七志野「きいぃー、何ですってぇ!!!」

加賀「け、ケンカは良くないですよ・・・」


日高「しかし、私は運転手(プロ)!」


和也「ひ、日高はん。こんなところで何してはるんです? カボチャの馬車なんかに乗って・・・」

沼河「どうやら、御者の役みたいですね」

加賀「彼はどこに行っても『運転手』なんですね・・・」

七志野「さあ、お迎えも来たことだし、バカの相手はこのくらいにして。そろそろお城の舞踏会に行かなくては。私こそがSinデレラ♪」

吉田「貴様の頭がカボチャじゃ!」

加賀「あの、吉田様・・・」

吉田「何じゃ、何か思いついたのか?」

加賀「いえ、姫の使者と名乗る方が月からお迎えに来ているのですが・・・」


日高「しかし、私は使者(プロ)!」


和也「ひ、日高はん・・・」

沼河「今度は月の牛車に・・・」

七志野「あら。今度こそ私のお迎えに来たのね。ごめんなさい皆さん。私は皆さんの求婚に答えることは出来ませんわ。だって私は月の姫君。時が満ちたら、月に帰らなくてはならないの〜♪」

夜刀「そのまま二度と帰って来んなよ」

加賀「吉田様・・・」

吉田「今度は何じゃ!?」

加賀「先ほど、スズメからつづらを二個頂いたのですが・・・」

那智「それぞれ大きさが違いますね」

和也「大きいつづらと小さいつづら、どっちを開けるんや?」

夜刀「そりゃあ・・・」

七志野「大きいほうに決まってるじゃない」

夜刀「うおっ、テメー月に行ったんじゃなかったのかよ!」

七志野「だって、あっちにはイイ男が全然いないんですもの」

夜刀「なぁ・・・お前、だんだん俺達に考え方が似てきてないか?」

七志野「失礼ね、アンタ達なんかと一緒にしないでよ。この私が選ぶんだから、絶対間違いないわ。大きいつづらよ」

沼河「そ、そっちでいいんだっけ・・・?」

和也「ほな、開けるで〜」

 ボワワワ〜ン!

夜刀「うおっ!」

那智「は、箱から白い煙が・・・」

和也「ああっ、大変や!」

加賀「な、何かあったのですか!?」

和也「吉田はんが、ヨボヨボのおじいちゃんになってもうた!!」

吉田「ワシは最初からこの姿じゃ!!!!!」

和也「そら失礼」

因幡「あのぉ〜。お呼びですかあ〜?」

那智「貴方は魔法の鏡ではなかったのですか・・・?」

因幡「那智様ぁ〜。そんな細かいこと気にしちゃダメですよぉ〜」

夜刀「コレって、アレだよな。確か『三つの願い』を叶えてくれるとかいう・・・」

因幡「そうですよぉ〜」

和也「おお、ほな姫の眠りを解いてもらうことが出来るやんか!」

七志野「何言ってるのよ! まず私の素敵な彼氏からに決まってるでしょ!!!」

夜刀「テメーは引っ込んでろ! 美味いモノが山ほどあって、殺りたい時に獲物が殺れる狩場の方が先だ!!!」

七志野「ハァ? それって今までの生活とほとんど変わってないじゃない、この単細胞!」

夜刀「何だとォ・・・吠えやがったなぁ、このアマ!」

因幡「あのぉ〜、とりあえずぅ〜。アタシの一つ目の願いをぉ、パ〜っと叶えちゃってくださ〜い♪」

七志野&夜刀『は?』

沼河「やっぱり、設定を自分の都合のいいように解釈しちゃってますね・・・」

夜刀「ケッ、役立たずが。コイツは簀巻きにして、裏の泉に沈めちまおーぜ」

七志野「賛成ね。丁度いい重さの石があったから、これを結わえ付けておきましょう」

因幡「そ、そんなぁ〜」

吉田「うぬら、こういう時の連携は抜群なのだな・・・」

 ぐるぐるぐる・・・ざっぱーん! ごぼごぼごぼ・・・

和也「これで一安心やな」

那智「さて、いい加減に姫を起こす方法を真剣に・・・」

 ざばぁ〜! ぼたぼたぼた・・・

加賀「うわぁ〜! ま、また泉から何か出てきましたよ!?」

真柱「あなたが落とした因幡は、この普通の因幡、銀の因幡、金の因幡のうちどれですか?」

夜刀「全部要らネェよ」

真柱「そうですか。では・・・」

因幡「ひ、ヒドイですぅ〜!」

 ごぼごぼごぼ・・・

沼河「い、いいのかなぁ・・・」


 その後も小人達は姫を目覚めさせる方法を思い出そうとしましたが、一向に思い浮かびません。そこへ、国の王子様が偶然通りかかりました。


若王子「何をやっているんだ君達!! 眠れる姫を目覚めさせるには、王子様のキスと決まっているじゃないか!!!」

一同『おお!』

和也「では、わいがチュウをしたるさかい・・・」

那智「殺しますよ?」

吉田「姫の一大事に、不謹慎じゃぞ」

和也「ちょいと場を和ませようとしただけやん。これしきのことで目くじら立てんといて
な」

吉田「こ、これしきのことと言われるか!?」

若王子「僕の話を聞けー! 僕こそが王子なんだから、僕がやる!!」

那智「不本意ですが・・・この際任せるしかないようです」

若王子「では、いただきます」

加賀「何だか、嫌な予感がします・・・」

若王子「こ、この子が姫だって・・・? ち、違う!」

沼河「違う?」

加賀「このお方は紛れも無く、Sinら雪姫ですが・・・」

若王子「いや、全然違う! 僕のプリンセスはもっと・・・もっと・・・とにかく、どこだ!! どこに隠した!!! 僕の、ボクの姫! ひめ〜? ヒメ〜!」

那智「御荒れ!」

 ドーーーーーーン!

若王子「げぶうっ!?」

 王子が壁に叩き付けられた時の衝撃で、姫の口からリンゴがころりと出てきました。すると・・・

瀬梨「う、う〜ん」

 どうしたことでしょう。姫が目を覚ましたではないですか。

瀬梨「ん〜〜、あれぇ? パパは? パパが目覚めさせてくれたんだよね?」

和也「パパって・・・あれかいな?」

若王子「や、やあ。パパだよ」

瀬梨「違うぅぅぅぅぅ!!」

 バキィィィィィィィッ!

若王子「ぎゃああああ!!」

 こうしてSinら雪姫は眠りから覚め、代わりに王子が永遠の眠りにつくことになりました。


 その後・・・


八雲「さて、邪魔者は消えたし・・・鏡よ鏡、私の質問に答えなさい」

 ボワワワ〜ン!

八雲「きゃあ!」

金の因幡「呼びましたかぁ〜?」

八雲「あ、貴女。以前と登場の仕方が違わない?」

金の因幡「そんなことないですよぉ〜」

八雲「それに、何だか色も少し変わった気もするし・・・」

金の因幡「気のせいですよぉ〜」

八雲「そう・・・まあそれはいいわ。それでは改めて、鏡よ鏡。この国で一番美しいのは・・・」

金の因幡「そんなことよりぃ、早くアタシの願いを叶えてくださいよぉ〜」

八雲「・・・は?」

 おしまい。

〜後書き〜

どうもA/Zです。
またもや変な話作りました(笑)
途中いくつか違う昔話を上げていましたが、わからないネタがありましたらごめんなさい
です。

それではまた♪





こんにちは、Mr.Voltsです。
今作の原案はA/Zだったんですが、完成までこじつけるのには何だかんだで結構時間がかかっちゃいました。七志野さんのキレっぷりは完全にフィクションです(笑)