●はじめに
 本文は「Sin」のメインキャラクターの一人、「日向 楓」を主人公にした
 二次創作小説です。

 作者の独断と偏見に基づく脚色により、キャラクターのイメージが異なっていると
 感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、そういったものを許せない方は
 ここでブラウザの戻るボタンを押してお戻りください。

 また、一部に本編ネタバレとなりうる箇所がありますので、そういうのが嫌だと
 いう方もここでお戻りすることをお勧めします。

 それでもいいや、という慈悲深い方は続きをどうぞ。

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<楓の日記>
RAYXANBER


某月某日
 今日は私と和也、そしてみる様3人の初登校日。
 制服を着られたみる様は、ものすごく生き生きとしていて、学校に行くのが
 楽しみでしょうがないといった感じだ。
 かくいう私も、物心ついたころから日の宮で修行の日々を送っていたから、
 「普通の学生」に憧れるみる様の気持ちもわからなくはないが…。

 しかし、和也の寝坊のせいで初日から危うく遅刻しそうになった。
 迷わず肘打ちをお見舞いする。


某月某日
 今日もみる様と和也の3人で登校。
 教科書を受け取ったので、ようやくまともな授業を受けられると思いきや
 和也のいびきと寝言で終始授業にならず。
 罰として今日の和也は昼食抜きにした。


某月某日
 登校初日からそうだが、休憩時間中や放課後みる様に言い寄ってくる男子生徒が
 後を絶たない。
 勿論、黄泉の裔どもからの襲撃については対策を練っていたが、こうした一般人からの
 「悪意なき妨害」については正直想定外だった。

 「大槻さん、俺と付き合ってください!」
 「みるちゃんって彼氏いるの?」
 「今日ヒマ? ガッコ終わったら一緒にどっか行かない?」


 そのつど私が追い払うのだが、その数は一向に減る様子がない。
 いい加減私一人では捌ききれなくなったので和也にも手伝わせようとしたのだが…。

 「なー、わいといっしょに茶しばきにでもいかへん?」

 ん? と思って振り返ると、そこには他の男子と一緒にみる様に言い寄っている
 和也の姿が…。

 「何やっとるんだ貴様はあぁぁ!!」

 即座に和也の顔面に鉄拳を叩き込み、目を白黒させているみる様を連れてその場を離れた。

 ただ、後でみる様に聞いたところ、和也はみる様と付き合っていることにして
 連日の取り巻きによる攻勢を回避しようとしていたらしい。
 だとすれば、少々やりすぎたかもしれないなと少し後悔したが、たとえ殺しても
 死なないような奴だし、まあいいだろう。


某月某日
 今日は体育の授業があった。
 当然ながら体操着に着替えなければいけないのだが、正直言ってこの服は好かない。
 適当な理由をつけて見学しようかとも思ったが、みる様が授業に出たいというので私も
 参加することにした。

 着替えて外に出たところで、同じく着替え終わった和也と出会う。
 和也は私とみる様を一目見るなりうんうんとうなずいて

 「うーむ、学生服も新鮮やったけど体操着っちゅーのもなかなかやな。
  それにしても…」


 などと訳の分からん事を言いながら、私とみる様を交互に見ている。
 その視線の先にあるものを追ってみる。と…!!

 「…和也、何を見比べている?」
 「それはもちろん楓姉さんとみる様のサイズを…
  え、あ、いや〜、なははは、なんでもないねん」


 和也はあわてて否定するが、そんな台詞に誤魔化される私ではない。

 「……帰ったら神刀術の稽古に付き合ってもらうぞ」

 そのときの和也は、まさに「この世の終わり」といった顔をしていたが
 私はあえて無視した。
 まったく、人がささやかながら気にしていることを…。

 その夜、私が牛乳をガブ飲みしたのは秘密だ。


某月某日
 今日の午後は急遽自習となった。
 私が与えられた問題集に向かっている最中、ふと和也の方を見る。
 どうせ居眠りしているだろうと思いきや、意外にもあやつは一心不乱に問題集に
 取り組んでいる様に見えた。
 あやつも心を入れ替えたのか、と、その時は思ったのだが…。

 しばらくすると、あやつの周囲に何人もの生徒が集まり、わいわいと騒ぎ始めた。
 よく見れば、みる様もその中に加わっているではないか。
 何事かと思って和也のところに行ってみる。

 「和也、一体何をやってい…」
 「おお、楓姉さん。へへ、ついに完成したんや!
  まさに会心の一作! 今までで最高の出来やで」


 私は和也の言った意味がさっぱり分からなかったが、
 その指先にあるものを見て絶句し、そして激しい目眩に襲われた。

 「問題集の全ページを使って作ったパラパラ漫画や。
  ほな、いっくで…ドベェ!?


 「阿呆かお前はーーーッ!!」

 私は和也の頭を力一杯殴るとその場にへなへなと座り込んでしまった。
 疲れた…。もう日の宮に帰りたい…(泣)


某月某日
 今日の学校が終了し、校門を出るところで一人の女子生徒に呼び止められる。

 「あ…あの、失礼ですが、日向 楓さん…ですよね?
  あああの、あたし、1−Bの遠野といいます。
  日向さんに、その、受け取ってもらいたいものがあるんです!」


 そういって、差し出された封筒を私が受け取るのを見ると、その子は
 挨拶もそこそこに走り去ってしまった。
 一応日に透かしてみたり、邪気がないか調べてみたが特に異常はなかったので
 日の宮に帰ってから、その中身を読んでみたのだが…。

 「…。
  ……。
  ………。
  ギャーーーーー!!


 それはいわゆる「恋文」というやつで、文面には私に対する恋慕の気持ちが事細かに
 綴られていたのである…!

 私の悲鳴を聞きつけて、和也をはじめとする日の宮中の者達が集まってきたが、
 私は顔面蒼白になりながらもかろうじて彼らを追い返すことに成功した。

 断っておくが、私には断じてそっち方面の気は無い。
 あの女生徒には悪いが、私は即座にその手紙をごみ箱へ投げ入れ、布団の中に潜り込む。
 あれは、初めて黄泉の裔と戦った時と同じくらい怖かった。


某月某日
 今日は日曜日。当然学校は休みなので、護衛の任もとりあえずの所はない。
 最近は剣の稽古を怠りがちだったので、今日は丸々一日を修行に当てることにした。

 聞く話では各所で封印の力が弱まり、それに乗じて黄泉の裔どもの力が増しているとの
 こと。
 となれば、私もそれに対抗すべく更に上の力を身につけねばならないだろう。
 やはり強敵を倒すためには、ここ一番という時に繰り出す大技が必要かもしれない。
 そう考えた私は、和也にそういった方面での題材探しを依頼すると、しばらく後になって
 和也がリストアップした紙を持ってきた。
 どれどれ…

 「斬鉄剣」
 「断空光牙剣」
 「殺劇舞荒剣」
 「ハイパーオーラ斬り」
 「破邪剣征・桜花放神」
 「シャイニングフィンガー・ソード」


 ……はぁ?

 「いやぁ〜、使えそうな技ピックアップするのは結構苦労したで。
  でもまあ、楓姉さんならこの程度の技、ちょちょいのちょーい、てなモンやろ?」


 「ちょっと待て! こんな異様で滅茶苦茶な技、どれ一つとして出来るわけなかろうが!
  それに『技使用時の口上、斬鉄剣:またつまらぬものを斬ってしまった』って
  これは一体なんなのだ!!
  大体、ここに書いてある技自体どこから引用してきたのだ!?」


 私は早口でまくしたてて和也を問い詰めるが、和也は涼しい顔で遠くを見ながら、

 「自分にある力を否定したらあかんで。
  わいも自分の『力』を恨んだことは一度や二度やない。けど、力はいつの間にか
  必要なものになってた。その意味を自分で見つけた時から」


 「和也! 私の目を見て話せ!!」

 「楓姉さん、恐れたらあかんで。
  自分と自分の力を信じにゃ」


 「人の話を聞けえぇーー!!」

 「大丈夫。楓姉さんならきっと出来る!」

 「出来るかーーーーッ!!」


某月某日
 休憩時間。
 この時間帯における生徒達の表情を見ると、それは一般的な学生生活において最も楽しい
 時間なのだろうと思う。
 それを眺めるみる様の視線に含まれるものも、当然ながら気づいてはいた。
 だが、彼らと我々とでは生きる世界が根本的に違う。「普通の学生生活」を望むみる様の
 気持ちは分かるが、彼らとはなるべく距離を置くようにしていただくしかない。
 もっとも、和也はその性格ゆえかあっさりと彼らの中に溶け込んでいたようだが…。

 それにしても、本当にあやつは「みる様を護る」という使命を自覚しているのか?
 なんだかみる様以上に学生生活を楽しんでいるように見えるのだが。

 まあ、あやつを介して入ってくる「普通の高校生」の趣味嗜好の話題やら数多の噂話、
 書籍や雑誌、CD、DVD等がみる様の楽しみの一つになっているようだし、ここは目を
 つぶるべきだろう。

 しかし、和也が私達に関する情報(勿論偽情報だ)と引き換えに様々な物品を得ているのは
 なんだか詐欺に近いものが……と、いうことは私はその詐欺師の仲間!?
 ………ま、まあいい。
 和也は私達のことを一体どのように伝えているのだろう。そう思った私は、帰りの車の中で
 聞いてみた。

 「和也、私達の事を聞いてくる者達に対し、お前はどんな風に答えているのだ?」 
 「ん〜、みる様は、帰国子女で、さる大財閥のご令嬢っつーことにしとるで」
 「なるほど…私は?」
 「あー、楓姉さんは

  実は男で、
  頭はカツラで、
  マッハ3で空を飛んで、
  眼から怪光線を出して、
  口から吹雪を吐いて、
  背びれと尻尾が生えてて、
  大酒呑みで、趣味は辻斬り

  …とまあそんなところや」


 …ぷちっ。
 私の中で何かが切れる音がしたあと、私は意識を失った。


−数時間後−

<真柱様への報告書>
日の宮に着いた公用車から瀕死の重傷を負った和也様が救出された件について

この一件については、みる様をはじめ楓様、和也様、専属運転手である日高の全員が口を
閉ざしているため、原因および敵の正体については不明。
ただ、神子守である和也様にこれほどの傷を与える程の敵というのは今までにほぼ例がなく、
これを機に高い神力保持者の発掘と、結界の強化をより一層すすめてゆく必要が……


END
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●あとがき
 えーまず、楓ファンの皆様ごめんなさい。
 私の貧相な文章力で無理矢理ギャグ仕立てにしたので、文中での楓の性格に違和感を
 覚えた方もかなりいらっしゃると思います。
 ただ、日の宮3人組の中での位置づけとしては、和也がボケで楓がツッコミになるのか
 なぁと思いまして、こんなお話を作ってみました。
 こんなくだらんお話を読んでくれた皆様、ありがとうございます。

 あと、和也の台詞のうちの一部は4章からほぼそのまま持ってきました^^;

 以下元ネタが分からない方のために簡単な解説
 ○斬鉄剣(アニメ「ルパン三世」より)
  正確には技ではなく、剣(というよりは刀)の名前になります。
  主人公ルパンの仲間である石川五右衛門が用いる刀です。大木だろうがビルだろうが
  何でもかんでも一刀両断にする切れ味を誇りますが、なぜかコンニャクだけは切れない
  という逸話が番組中で語られています。

 ○断空光牙剣(OVA版「超獣機神ダンクーガ」より)
  この作品における最終兵器(?)です。私も見たことはないのですが、どうやら
  母艦のエネルギーを剣(断空剣)に用いて行う攻撃のようです。
  (スーパーロボット対戦α・DC版のロボット大図鑑より)
  ゲーム中においてもその攻撃力は凄まじく、序盤から終盤まで頼れる数少ない攻撃の
  一つとなっています。

 ○殺劇舞荒剣(ゲーム「ティルズ・オブ・ディスティニー」より)
  ゲーム内にて主人公スタンが使用する剣技です。
  いわゆる乱舞技で、剣による斬り・突きの他にも拳や蹴り等を交えた多数の攻撃を
  叩き込み、最後に剣から放たれる火炎で敵を焼き尽くすというカッコ良い技です。
  なお、技自体の人気が高かったためか、それ以降のティルズシリーズにも採用されて
  いるようです。

 ○ハイパーオーラ斬り(アニメ「聖戦士ダンバイン」より)
  作品内にて主人公ショウが使った技です。
  この作品は色々と細かい設定が多く、それが技の名前等にも関わっているのですが、
  ここではとても書ききれないので割愛します。
  原理的には「自らの精神および生命力(オーラ力)を乗せて放つ剣撃」ということに
  なるのでしょうか?
  そういった意味では楓の能力に近いものがあるかもしれません。

 ○破邪剣征・桜花放神(ゲーム「サクラ大戦」シリーズより)
  ゲームのメインヒロインである真宮寺さくらの使用する技です。
  自身の「霊力」を剣に込め、衝撃波として前方に撃ち出すというもので、シリーズの
  1と2で登場します(2では敵幹部が使用)。
  和也がリストアップした中で、楓がなんとか唯一使えそうなのがこれでしょうか^^
  そういえば楓とさくら、少し似てますね(黒髪ポニーテールの大和撫子、剣の達人、
  料理好き、霊力(神力)保持者)。

 ○シャイニングフィンガー・ソード(アニメ「機動武闘伝Gガンダム」より)
  機体の掌から放出されるビーム光(流体金属だった気もするが良く覚えてない)を
  剣状にし、敵に斬りつけるという技です。
  番組中に1回(2回かも)しか使われなかった技ですが、その時の口上のインパクトが
  非常に強かったためか、覚えている人は多いようです。
  なお「Gガンダム」については、それまでの「リアル戦争ドラマ」というガンダム
  シリーズの常識を完全にぶち壊したエンターテイメント作品とだけ言っておきます。